No160和尚のひとりごと「びんずるさん」
わが国でも昔から馴染み深い「びんずるさん」について紹介します。 十六羅漢の第一に数えられる賓頭盧(びんずる)尊者、名前を聞いたことはあってもという方も多いかもしれません。 詳しくは、名がピンドーラ、姓をバーラドヴァージャと言い、バラモンの家系に生を受けお釈迦さまに弟子入りした方です。 神通力に優れた能力を発揮しましたが、あまりに勝れていたため、お釈迦さまから軽々しく神通を示現することたしなめられたこともありました。また非常に聡明であり、説法が他の異論や反論を一切許さないほどであったことから、”獅子吼(ししく)第一”ライオンの如くとも称されたそうです。まさに独り勝ちといった感じです。
その賓頭盧尊者ですが、お釈迦さまより重大な使命を授かります。つまり自分(お釈迦さま)が亡くなったのちの世において、お釈迦さまに代わり衆生を済度せしめ、末世の人々が供養するに値する存在として頑張るようにというわけです。そこで賓頭盧尊者はあえて涅槃に入らず、西方の土地で教えを説き続けたと言われます。 その姿は”白髪長眉の相”つまり白く長い眉毛が特徴です。今では身体の不調を感じたとき、賓頭盧像のお身体のその箇所を撫でれば快癒(かいゆ)する「撫で仏(なでぼとけ)」として信仰を集めています。元々はお寺の食堂(じきどう)に祀られていたそうですが、いつの間にか私たちに身近な外陣や回廊の降りてこられた羅漢さまです。皆さまも機会があれば是非お参りください。