和尚のひとりごとNo166「同称十念・同称御回願(どうしょうごえがん)」

 

”南無阿弥陀佛” お念仏は私たち日本人には大変馴染み深いものですね。

その意味するところは、阿弥陀さまという仏の名を呼び、その仏を信頼し全面的に帰依することです。

そこには、どうか私を救ってください、浄土に迎え入れて下さいという心からの願いが込められています。

ところで私たち浄土宗では、僧俗〈そうぞく〉(僧侶と出家していない人、一般の人)が一体となってこのお念仏を10回唱えることがあります。

これをともに称える念仏、つまり同称十念(どうしょうじゅうねん)と呼びます。

では何故、10回なのでしょうか?

そこには根拠があります

浄土の教えが説き示された経典は数多くありますが、浄土宗を開かれた法然上人がとりわけ大切にされたのは浄土三部経です。その中の無量寿経の中に次のような一節があります。

”設我得仏 十方衆生 至心信楽 欲生我国 乃至十念 若不生者 不取正覚”(せつがとくぶつ じっぽうしゅじょう ししんしんぎょう よくしょうがこく ないしじゅうねん にゃくふしょうじゃ ふしゅしょうがく)

後に覚りを開き阿弥陀佛となる法蔵菩薩が修行時代に建てた誓いの一つです。

「あらゆる世界の衆生が心から信じてわたくしの国に生まれたいと願い、わずか10回でも念仏を試みて、それでももし生まれることが出来ないようであれば、決して仏とはならない」

そして法蔵菩薩はその誓いを成就して、阿弥陀佛となりました。

仏法には様々な道があります。

その中でも、心から極楽浄土への往生を願いわずか10回でもお念仏を称えるならば、必ず往生を果たすことができる、それが浄土の教えであります

同称十念とは、その10回のお念仏を皆さんとともに称え、仏さまへの感謝の気持ちを表すことです。

お勤めの際に僧侶が”同称十念”と呼びかけましたら、皆さんも是非お手を合わせ、大きな声でご一緒にお念仏を称えましょう。