和尚のひとりごとNo187「傳燈師」
残念なことに新種のウィルスの感染が広がっています。思えば様々な災害や疫病等により、私たちの生活は大きな影響を蒙ってきました。そのような中で、私たち共通の願いは、全ての生きとし生けるもの(一切有情)が平穏無事に暮らしていける世界であり、その願いにこそ仏心が宿ります。一刻も早くこの事態が終息に向かうことを心より祈念致します
本年11月に五重相傳會を厳修を致します。その案内をご覧になられて、「傳燈師」とはなんですかと尋ねられることがあります。
今回は、門前の高札にあります五重相傳の三役「勧誡師」「回向師」「傳燈師」についてご紹介させていただきます。
「勧誡師」とは、受者に浄土宗の教えを分かりやすく解説し、その精神を伝える僧侶です。勧誡師の勧は善をすすめ、誡は悪を誡めるという意味があります。そして、念仏信仰の中にその生涯を全うし、往生浄土の素懐を遂げるために、念仏を申す仏教徒として、明るくたくましく生きてゆく道を受者にすすめるのが勧誡師の役割であります。
「回向師」とは、五重相傳會中に行う勤行の中で特別な回向(供養)をする僧侶のことです。
また同時に「回向師」は、法要の諸作法や注意事項などを指導したり、法要全体の進行・統括も行います。いわば、監督のようなものです。
そして最後に「傳燈師」ですが、
「傳燈」とは、仏法を灯火にたとえて、その火が絶えないように、師匠から弟子へと仏法の正統な教えを脈々と相伝していくことを意味します。伝えられる教えを「伝法」と申します。
つまり「傳燈師」とは、お釈迦さまから法然上人へと受け継がれてきた教えを受者に伝え授けることができる僧侶のことです。
五重相傳は特別な僧侶によって行われる法要です。いわば一期一会の法要であり誠に得難き仏縁であります。是非ご参加ください。