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和尚のひとりごとNo205「声はげまし もう一歩」

今年は東京オリンピックが開催される予定でしたが、新型コロナウイルスの影響により来年に延期という事になってしまいました。オリンピック精神とは、「スポーツを通して心身を向上させ、文化・国籍など様々な違いを乗り越え、友情、連帯感、フェアプレーの精神をもって、平和でより良い世界の実現に貢献する事」と提唱されています。近年では「スポーツ」と「文化」に「環境」が加わり、オリンピックを通して世界中の人々が地球環境について考える機会にもなっているようです。2020gogatu

 競技中には選手同士が声を掛け合い、チームプレーを上手く進め、お互いの闘争心を鼓舞し合い、最後まで全力を尽くします。競技者のみならず観戦している場合でも、応援に力が入り、選手に声を掛けたくなるものです。例えばマラソンでは沿道で多くの人達がランナーに向かって熱い声援を送ります。励ましの声を聞いた選手達は、ゴールする迄とても勇気づけられると言います。団体競技でも、観客からの声援や選手同士の声掛けによって試合そのものの雰囲気を盛り上げ、チームとしてのモチベーションを高める事になります。

 相手に掛ける言葉は非常に重要です。同時に言葉はとても繊細なものです。掛けた言葉によって相手を喜ばせたり励ます事も出来れば、傷つけてしまう場合もあります。特に子供やお年寄り、病気になった時に掛ける言葉は相手に大きな影響を与える場合が多いです。子供には良いところを見つけては褒めてあげるという具体的な言葉が良いようです。褒められて育てられると「自分は生きる価値のある存在なんだ」と自信を持ち、困難な壁にぶつかっても自分を信じてチャレンジ出来る精神力が養われるそうです。ですから褒めてあげる事が、子供の成長にはとても重要なのです。お年寄りや介護される立場の人、或いは病気の時に掛ける言葉というのも大事です。言葉を通して励ませるだけでなく、お互いの信頼関係も築いていくからです。相手に寄り添い思いやる、その気持ちが言葉となり相手を勇気づけ、信頼感を生んでいきます。

 浄土宗のお念仏は口称(くしょう)念仏です。口に南無阿弥陀佛と称える事を重んじます。法然上人は声に出して、我が耳に聞こえる程のお念仏を高声(こうしょう)の念仏と説かれました。お念仏を称える事によって、我が身ただ一人ではなく、いつも仏様が見守ってくださっていると心励まされる気持ちになります。一声一声に仏様が応えてくださり、我々をお護りくださっているのです。ウイルスの影響で過ごし難い日々が続きますが、早く平穏無事な日がやってくる事を願い、「もう一歩」頑張る気持ちで日々共々にお念仏申して過ごして参りましょう。