和尚のひとりごと「伝道掲示板139」

 hitoha

早島鏡正師『ゴータマ・ブッダ』より

入滅を予感したブッダは頭北面西右脇(ずほくめんさいうきょう)の姿で横たわったが
背後に悲しみ咽ぶ従者アーナンダの声をきく。
悲しみを諫め四半世紀にわたり道行をともにした弟子にかけた言葉。
「およそ、生じ、存在し、作られ、破壊されるべきものであるのに、それが破壊しないようにということが、どうしてありえよう…」

いつの世でも時を共にした者の死は悲しい。
果てしない長大なる時間の流れに比べれば、それがほんのつかの間のあいだでのことであったとしても。
そしてブッダは臨終に際し、再び諸行無常の理を説き
残された者が自らの修行の完成の為に、怠ることなく励むように諭した。

1280px-Indian_Museum_Sculpture_-_Parinibbana,_Loriyan_Tangai_(9220598586)

ロリヤン・タンガイ(現在のパキスタン)出土の仏涅槃浮彫