和尚のひとりごとNo566「立ち止まって深呼吸」
海の波の動きを「波動」と言います。風が強い日は波が荒くなりますが、全く風がなくても、たとえ水面に波が見えなくても、水面下では「うねり」となって波は必ず動いています。寄せては返す「波動」、1分間に17、8回あるそうです。私達の体で1分間に17、8回と言えば「呼吸」になります。安静時の健康な成人の平均的な呼吸数が「波動」とほぼ同じ数になるそうです。ですから釣りの好きな人が海に出て、釣り糸を垂れて横たわっていますと、一番心地良く休めるそうです。「呼吸」と「波動」が同じ数である故、心地良く感じるのです。呼吸数が18回として、その倍の36と言えば人間の「体温」になります。「体温」が36度でおおよそ、その倍の70となると「脈拍」。「脈拍」の倍の140と言えば「血圧」になります。「血圧」の倍の280は、胎児が母親の体内にいる日数になります。十月十日と一口に言いますが、この280日を100倍した28000日。これは「寿命」になります。天から授けて頂いたという事で「天命」とも言いますが、その「天命」が28000日。一年の日数、365日で割ってみると76点いくつになります。これがおおよそ、人としての「寿命」になります。有り難い事に今の日本人の平均寿命はこれ以上の方が多くなりましたが、大体70なかばあたりが良い頃合いの「寿命」です。一分間の「波動」が17、8回で人の「呼吸」と同じ。その倍が「体温」。「体温」の倍が「脈拍」。「脈拍」の倍が「血圧」。「血圧」の倍の280日が胎児が母親の体内にいる日数になり、その100倍の28000日が人の「寿命」になる。その様に考えますと、我々の日々の暮らしは大自然の法則の中で生かされているとも言えるのではないでしょうか。自分の力で生きているようだけれども、目に見えない力によって生かされている。生かして頂いているこの命と考えられるのです。目に見えない量り知れない不思議な力に対してお釈迦様は、「人智を超えた見えない存在があるのではなかろうか。」と手を合わせていかれました。肉体的にはご先祖様から頂いた血と肉でありますが、不思議な力によって今こうして生かして頂いている私達であります。
「ありがたし今日の一日(ひとひ)も我が命 めぐみたまえり天(あめ)と地(つち)と人と」
<佐々木信綱(のぶつな)1872~1963 国文学者・歌人>
晴れの日は、光の恵みを与えられ、雨の日は水の恵みが与えられます。そして大地には米や野菜といった農作物の恵みが出来上がります。食べる物に限らず日々の生活全て人や物に頼って生かされている私たちです。生きていく事は自分一人の力ではないと日々共々に感謝の気持ちで過ごして参りましょう。