和尚のひとりごと「伝道掲示板385

taxtuta

かつて王舎城郊外に500人もの子供を持つハーリティー(鬼子母神)が住んだ。彼女は近隣の幼児を次々とさらい、食い殺していたため、大変恐れられていたという。
釈尊はその500人の子供たちの中で、ハーリティー最愛のプリヤンカラを神通力によって隠してしまった。見失った我が子を求め狂乱する彼女に釈尊が説いて云わく。
汝、500人の子供の中でたった一人を失った事で悲しみに暮れている。
では、たった一人の子供たちを失った世の親たちの事を思うがよい。

伝説によれば釈尊のこの説示によりハーリティーは仏の教えに帰依し、善神となったと伝えられる。

鬼子母神のこの説話は義浄三蔵のもたらした『根本説一切有部毘奈耶雑事』をはじめ、数々の書に伝えられ、北東インドより東南アジアの広きにわたって親しまれてきた。