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和尚のひとりごとNo781「見上げる空に仏のひかり」

  阿弥陀とはアミターバというサンスクリット語の音写です。意味の上から漢字を充てると無量光となります。字の如く量り知れない程の眩(まばゆ)い光で生きとし生ける者を照らしてくださり、お救いくださる佛様です。『無量寿経』の中で阿弥陀佛の光明の働きには十二種類あると説かれ、阿弥陀様を別の名で誉め讃えられています。
 1・無量光佛(むりょうこうぶつ)
        量り知る事の出来無い光を放たれる佛様。202112gatu
 2・無辺光佛(むへんこうぶつ)
         際限が無い光を放たれる佛様。
 3・無礙光佛(むげこうぶつ)
         遮るものが無い光を放たれる佛様。
 4・無対光佛(むたいこうぶつ)
         他に比べるものが無い光を放たれる佛様。
 5・燄王光佛(えんのうこうぶつ)
         輝きが一番である光を放たれる佛様。
 6・清浄光佛(しょうじょうこうぶつ)
         色合いが例えようの無い美しさである光を放たれる佛様。
 7・歓喜光佛(かんぎこうぶつ)
         安楽を与える光を放たれる佛様。
 8・智慧光佛(ちえこうぶつ)
          無明の闇を滅する光を放たれる佛様。
 9・不断光佛(ふだんこうぶつ)
          いつも遍(あまね)く照らしている光を放たれる佛様。
10・難思光佛(なんじこうぶつ)
          人智を超えている光を放たれる佛様。
11・無称光佛(むしょうこうぶつ)
           特徴以外で称える事が出来無い光を放たれる佛様。
12・超日月光佛(ちょうにちがっこうぶつ)
           太陽や月以上の輝きである光を放たれる佛様。
 以上の様な素晴らしい御光(みひかり)で私達をお照らし下さっている阿弥陀様です。しかしその様な御光に照らされているのだとは、なかなか信じ難いのも事実です。実際に目で見る事が出来ないからです。
 或る上人が阿弥陀様の御前でひたすら南無阿弥陀佛とお念仏を申しておられました。普段はお寺の住職として勤める日々。追善回向といって亡くなった方への供養の為に称える事の多かったお念仏です。或る日、一人で阿弥陀様を拝見しながら無心にお念仏を申していると、阿弥陀様がキラキラと輝き光明を放っているお姿に見えたそうです。その輝く佛様を拝見した時に自然と涙がこみ上げてきたと言います。科学的な知識で解明すれば、佛前に灯(とも)された蝋燭がユラユラと揺れて、その光が仏像に反射して光っていたという事にすぎません。しかし、佛様を素直な心で拝んでみると、「今まさに目の前に阿弥陀様が居られ、光明を照らして見護ってくださっている。」その様に感じ入り感涙したのです。
 仏様の光明は見ようと思って見られるものではない人智を超えた御光です。法然上人は、「愚鈍(ぐどん)の身になして」と、知恵知識を身につけて立派になる必要はないとおっしゃられました。今の自分の素直な姿のまま阿弥陀様を拝み、ひたすらお念仏を申していく。その様な素直な心に信仰が深まっていくものです。智者ぶらず、素直な心で日々お念仏を申して過ごして参りましょう。