和尚のひとりごとNo1024「袈裟1」
昔から僧侶と袈裟(けさ)は切っても切れない関係にあると考えられてきたように、そもそもは出家した僧侶は俗服を捨て袈裟のみを身につけるべきとされていました。袈裟(けさ)とはインドのサンスクリット語であるkaṣāya(カシャーヤ)を音写(おんしゃ)した言葉です。これは赤褐色を意味すると言われていますが、これがまた壊色(えじき)や染衣(せんね)と訳されたり、糞掃衣(ふんぞうえ)と呼ばれたりするのは、一般の人がかえりみない布の小片を綴り合わせて染色したものが袈裟として用いられた為です。具体的には墓所などに打ち捨てられた(一般の人々にとりすでに不要となり金銭的価値がなくなった)衣服などを集め、縫い合わせて染め直したものを仏教僧は身につけていたという事になります。
この事が意味しているのは、仏道修行にとって最も肝要な欲望を抑えなくしていく事、つまり無所有(むしょう)(所有を出来る限り避ける事)を徹底させる為であったと考えられています。
十大弟子 頭陀行(ずだぎょう)第一と讃えられた摩訶迦葉尊者(まかかしょうそんじゃ)は、お釈迦さまより、身につけていた袈裟を送られて一生涯大切にしたと言われ、その仏直伝の袈裟はインドを旅した玄奘三蔵も拝観されたといわれています。