和尚のひとりごとNo1036「袈裟3」

袈裟の材質は如何でしょか?まず麻や木綿が本義とされています。
しかしながら想像してみれば、そもそも不要として捨てられた布ですから高級な織物というのは考えづらいでしょう。
また絹を使用してはならない、というお話を耳にしたことがありますでしょうか?
そもそも人々が不要として捨てた布や、信者が寄進したものであれば、材質は問わないというのが本来の立場でした。
しかしながら仏教が中国に入り、慈悲を強調する大乗仏教の立場より、律の大家であった道宣(南山律師)は不可としました。
何故ならば絹を生産する為には数多くの蚕を殺ねばならぬからと言ったのです。

律の大家 道宣

律の大家 道宣


この影響は我が国にも及んで、江戸時代に起った戒律復興運動において絹を使用しない袈裟を身につけることで戒律に厳格であることを示そうする僧侶も出現しました。
ところで中国の唐の時代にインドや東南アジアで見聞を深めた義浄三蔵は、絹の袈裟も特段問題ではないとしています。