和尚のひとりごとNo141「三心」

 

法然上人の一枚起請文に、次のような一節があります。

「三心四修(さんじんししゅ)と申すことの候そうろうは、

皆決定(けつじょう)して南無阿弥陀仏にて往生するぞと思ううちにこもり候うなり」

 ここに言われる「三心(さんじん)」とは、阿弥陀さまが建てた西方浄土に往生しようとする者が持つべき三種の心構えのことです。

浄土宗で大切にしている『観無量寿経』には、こう説かれています。

 第一に「至誠心(しじょうしん)」とは「まことの心、真実心」のこと、

 第二に「深心(じんしん)」とは「仏の本願を深く信じる心」のこと、

 そして第三に「回向発願心(えこうほつがんしん)」とは、あらゆる行為を全て西方極楽浄土への往生の願いへと振り向けることだとされています。

 簡単に言えば、「三心」とは私たちの極楽往生への切なる願いです。

 法然上人によれば、極楽往生への条件であるこの「三心」さえも、『南無阿弥陀仏』とおとなえして必ず往生するのだ、と思い定める中に自然に備わってくるというのです。

 難しく考える必要はありません。

 まずは仏が説示され法然上人が勧められるお念仏を申し、慈悲に満たされた阿弥陀如来の浄土に生まれることを願おうではありませんか。