和尚のひとりごとNo122「やさしい言葉を贈ろう」
「鬼は外、福は内」と節分の日には掛け声をかけ、豆を撒いて、年齢の数だけ豆を食べ厄除けを行います。季節の変わり目には邪気(鬼)が生じ、それを追い払う為のお祓い行事が節分会の始まりと言われています。古来から目に見えない災禍をもたらすものに対して「鬼」と称し、お祓いの対象としてきたようです。また自分にとって都合の悪い相手に対しても「鬼」と呼び、目に見える人間を対象として悪口としても使われます。気にくわないと、ついつい他人の悪口を言ってしまう愚かな私達であります。
戒律といって仏教徒の守るべき戒めと規則を記した書物には口に関する事柄が沢山あります。「不妄語」(嘘、偽りを言わない)・「不両舌」(二枚舌を使ったり、陰口を言わない)・「不悪口」(他者を誹謗、中傷しない)・「不綺語」(噂話や世間話、心にもない綺麗事など無駄口をたたかない)等、発言についての行為を戒めています。「口は災いの元」と言われるように、口から出た言葉一つで相手を傷つけ、自分自身をも傷つけてしまうのが言葉の恐ろしさです。それだけに発言には気をつけるようにとの戒めであります。
ひとつのことばで なかなおり
ひとつのことばで 頭が下がり
ひとつのことばで 心が痛む
ひとつのことばで 楽しく笑い
ひとつのことばで 泣かされる
ひとつのことばは それぞれに
ひとつの心を持っている
きれいなことばは きれいな心
やさしいことばは やさしい心
ひとつのことばを 大切に
ひとつのことばを 美しく
たった一言で喧嘩する事もあれば、相手と仲良くなるのも言葉の力です。出来るだけ良い言葉を使うように心がけ、毎日笑顔で過ごすようにしたいものであります。