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和尚のひとりごとNo294「みんなに会える夏」

 2020hatigatu夏休み、お盆の帰省時期にもなりますと親戚が集まり、賑やかに過ごされる方も多いことでしょう。大切な人を家に招待する時はどんな気持ちで、どの様な準備をされるでしょうか。玄関や部屋の掃除をして、食事はどうしようか、飲み物やお菓子などは何を出そうかとあれこれ、おもてなしを考えられる事でしょう。そしてその方がやって来られると一緒に楽しい時間を過ごす事だと思います。

 

 月参りなどの際にお唱えする浄土宗の日常勤行(ごんぎょう)の中に四奉請(しぶじょう)という偈文(げもん)があります。

 奉請 十方 如来 入道場 散華楽

(ほうぜい しほう じょらい じとうちょう さんからく)

 奉請 釈迦 如来 入道場 散華楽

(ほうぜい せきゃ じょらい じとうちょう さんからく)

 奉請 弥陀 如来 入道場 散華楽

(ほうぜい びた じょらい じとうちょう さんからく)

 奉請 観音 勢至 諸大菩薩 入道場 散華楽

(ほうぜい かんにん せいし しょたいほさ じとうちょう さんからく)

 

 十方に在(ま)します如来様、仏様の御教えを説いてくださったお釈迦様、西方極楽浄土に在します阿弥陀様、阿弥陀様のお供をされる慈悲の観音菩薩様や智慧の勢至菩薩様、更に諸々の菩薩様方を、今お勤めしている場に華を散じてお迎えするというお経です。いわば、お客様を迎える為のおもてなしの偈文であります。

 諸々の菩薩様方には先立たれたご先祖様も含まれます。新暦では8月、旧暦では7月となるお盆の季節に、ご先祖様がこの世に帰ってくるという風習が御座います。迎え火を焚き、お盆のお供えをしてご先祖様を我が家にお迎えます。送り盆の時には、送り火を焚いてお浄土に再び帰って頂くのです。盂蘭盆会(うらぼんえ)という仏教の風俗習慣が元になっておりますが、浄土宗では西方極楽浄土に往かれた亡き方々、ご先祖様が戻ってきて我が家で過ごし、再びお浄土に帰っていただくとお受け取りください。

 会いたくて会いたくて仕方がない人とやっと出会えた時、気持ちは高揚し、心踊ります。その方の顔をもっと見たいと思い、その人の心に寄り添いたいと願います。こちらから会いに行けない人ならば尚更です。お念仏の御教えはこの世で命尽きて後の世、西方極楽浄土で亡き人と再会出来ると説きます。いずれまた会えた時の喜びを思い、再会出来る事を生きる生きがいにして共々にお念仏申して過ごして参りましょう。22