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和尚のひとりごとNo446「誓い新たにはじめよう」

 新年明けましておめでとう御座います。新たな一年を迎え、今年一年の計画や目標、新年を迎えての意気込みを誓われた方も多い事でしょう。「一年の計(けい)は元旦にあり」という言葉があります。出典は、中国の明(みん)という時代に憑慶京(ひょうおうきょう)という学者さんが著された、『月令広義(げつれいこうぎ)』という書物に依ります。その中に、「一日(いちじつ)の計(けい)は晨(あした)にあり、一年の計は春にあり。」という一文が記載されています。「晨」は「あした」と読み、「朝」の事を指します。「春」は「正月」の事を指します。全体として、「一日の始まりである朝や、一年の初めである正月に計画を立てるべきである。」という意味になり、一日の過ごし方や一年通しての生活を充実させ、無益な日々を送らない様にという戒めの言葉になります。2021-1-1

 この言葉には続きがあります。「一生の計は勤(つとめ)にあり、一家の計は身にあり。」勤勉に働く事で一生が決まります。健康でいる事で一家の行く末が決まります。簡単にまとめると、何か始める時にはきちんと計画を立てて無駄に過ごさず、健康に留意し、真面目に順序良く計画を進めていけば成功するという事になります。しかしながらこの世の中は、なかなか思い通りにはいかないものです。計画通りに進めていても思わぬ壁にぶち当たる事もあります。真っ直ぐに歩んでいても目の前に大きな壁が立ちはだかったりもします。健康に留意していても怪我をする事もあれば、病気に罹る事もあります。一年一年、年齢を重ね少しずつ老いていかねばならないのが我が身です。それがこの世、無常の世の中です。思い通りにはならない、老いていかねばならない世の中だからこそ、しっかりと歩んでいける心の支えが必要となります。

 浄土宗の御教えは、「南無阿弥陀佛」とお念仏を申す御教えです。阿弥陀佛という仏様に最期臨終の夕べ、この世で命終える時に至って、お迎えに来て頂き、西方極楽浄土へ生まれさせて頂く事をお願い申し上げるのがお念仏の御教えです。阿弥陀様は、「我が名を呼べば必ずどの様な者であっても救いとって、我が国、西方極楽浄土へと迎えとる。」と御誓いくださいました。これを本願(ほんがん)と言います。私たちの目には見えない信仰の世界ですが、「南無阿弥陀佛」と唱える声を、いつでもどこでも阿弥陀様は聞いてくださっているのです。阿弥陀様の本願は確かな誓いであるので間違いない事です。

    新しき 年迎えては さらにまた

       続けはげまん み名呼ぶつとめ (藤堂恭俊)<増上寺第86世法主>

 コロナ禍で、まだまだ生活し難い日々が続きそうです。不安や心配事の絶えない日々、私たちの思い通りにはいかない世の中ですが、信仰を心の支えに今年一年もしっかりとお念仏を申して歩ませて頂きましょう。