Monthly Archives: 3月 2021

和尚のひとりごと「伝道掲示板287」

奠湯の文

奠湯(てんとう)とは表葬式において脇導師が葛湯を供養すること。
四事供養の湯薬にあたる。

 

合掌

和尚のひとりごと「伝道掲示板286」

起龕の文

鎖龕の次に行われる起龕とは出棺のこと。
葬儀式において脇導師はこの一句を唱えて作法を行う。

 

合掌

和尚のひとりごと「伝道掲示板285」

鎖龕の文

葬儀式(表葬式)の正式のかたちは七仏で勤める。七仏とは導師に従う六人の脇導師を加えてそのように呼ぶ。
脇導師の一人はこの偈文を唱えて鎖龕の役目を果たす。
鎖龕とはひつぎを閉ざすこと。

合掌

和尚のひとりごと「伝道掲示板284」

三帰礼

善導大師『往生礼讃』より。

仏に帰依し菩提を得ん、道心はつねに退くことなく
願わくは諸々の衆生とともに、無量寿国への往生を願いめぐらさん
法に帰依し薩婆若(一切智)たらん、大いなる総持門を得ん
願わくは諸々の衆生とともに、無量寿国への往生を願いめぐらさん
僧伽に帰依し諍い論じることをやめ、同じく和合海に入らん
願わくは諸々の衆生とともに、無量寿国への往生を願いめぐらさん

流通分において現在は三唱礼を唱えることが多いが、以前はこの三帰礼を唱えるよう指示されていることも多かった。

合掌

和尚のひとりごと「伝道掲示板283」

虫回向文

『無量寿経』より。
諸々の天、人民、虫にいたるまで
皆ことごとく仏の慈恩を賜り
憂い、苦しみより解脱せんことを..

合掌

和尚のひとりごと「伝道掲示板282」

畜生回向文

たとえ獣類などであっても、ひとたび、弥陀の名号を耳にしたならば
三悪道を離れ、菩提を目指すことができる..

”畜生”の原意は水平に歩む存在を意味した。
直立歩行を行わない生類である鳥や獣、虫や魚類などの有情を指す。
この回向文は動物や家畜を供養する際に唱えるとされている。

合掌

和尚のひとりごとNo519「お水取り」

古来より三寒四温と言われるように、肌寒さの中にも春らしい陽気や花の香が確かに感じられる季節となりました。
さて関西地方では「お水取り」を迎えて春がやって来ると言われます。季節の変り目を象徴するこの「お水取り」は、奈良は華厳宗大本山東大寺にて3月のはじめに行われます。時に天平勝宝4年(西暦752年)、大仏建立の功績ある良弁僧正の高弟実忠(じっちゅう)によって始められ、およそ1250年の長きにわたり行われて来た伝統行事です。
またこの「お水取り」は、正確には同寺二月堂で厳修される修二会(しゅにえ)の中で行われるものです。これは別名”十一面悔過(じゅういちめんけか)”とも呼ばれるように、本尊前にて罪・科(とが)を懺悔(さんげ)し、天下安穏を祈祷します。この中で、身心を浄めた練行衆(れんぎょうしゅう)と呼ばれる僧たちが、本尊の観音菩薩の宝号を唱え、体ごと床にたたきつけるように五体投地を繰り返します。まさに全身全霊をかけた荒行です。
そうした中12日後夜を迎えると勤行は中断され、いよいよ「お水取り」が行われます。それはかつて東大寺領であった閼伽井屋(あかいや、若狭井)の香水を東大寺内陣に納める儀式、そのいわれは、魚採りに行っていた為に二月堂への参集に遅れてしまった若狭の国の遠敷明神(おにうみょうじん)が、二月堂のほとりに清水を涌き出ださせて観音さまに奉ったことに由来しているそうです。4007c1569d1b294ec3eb92b73d9f8d84252a5c30.47.1.26.2
さて何と言ってもこの「お水取り」の中で一番の見ものはお松明ではないでしょうか?達陀(だったん)という行の中では、漆黒の空を背景に、練行衆が走り回り、焔燃え盛る大きな松明を盛大に振りします。この火天(かてん)と呼ばれる光景は、古都奈良の風物詩ともなっています。
かつて大陸から仏教が、そして多くの文物・文化が私たちのこの東の果ての国にもたらされました。このお水取り、特に達陀と走りの行法に西方のゾロアスター教の影響をみてとる学者もいるようです。遠くシルクロードの文化の余波が今に伝わり、わが国独自の文化として根付いている。そのように考えると、この伝統行事も、また違った相貌を私たちにあらわしてくれるかも知れません。

和尚のひとりごと「伝道掲示板281」

禮塔回向文

『六十華厳』より。

仏塔を礼するときに唱える偈文。
仏塔は仏舎利を収める塔であり、仏の身体そのものを象徴する。
初期の仏教では仏の似姿を造形することは避けられ、仏舎利を収めた仏塔こそが崇敬の対象であった。
釈尊滅後、その遺骨は八当分されて奉納され、さらに後のアショーカ王によって再分配され、各々の仏塔に収められたという。

曰く
願わくは仏塔を礼することにより
衆生、仏の如く仏道を究めんことを..

合掌

和尚のひとりごと「伝道掲示板280」

展坐具偈

善き哉かな尼師壇は、諸仏の受用したまう所なり
願わくは一切衆と共に、常に其の中に坐せん

坐具を展開する際(展坐具)に唱える偈文。
釈迦滅後の最初の教法結集の際、
25年間師と道行をともにした阿難尊者が教法を誦出するとき、
摩訶迦葉尊者は敬意を表して尼師壇(niṣīdana、坐具)をその前に敷いたという。
浄土宗では特殊法要の際に展坐具を行っている。

合掌

和尚のひとりごと「伝道掲示板279」

zaihou

受嚫偈(じゅしんげ)

施主より金銭・物品の布施を受けた際に唱える偈文。

布施行による功徳が円満なること、そして菩薩が理想とする布施行の如く
布施の当体、受ける者、ならびに施されるものがともに清浄なること(三輪清浄)を祈念する。