和尚のひとりごと「伝道掲示板306

釈尊の言葉その2

『大般涅槃経』には晩年の釈尊の道行きが描かれています。
”大般”とは大いなる、完全な”という意味、”涅槃”は本来は煩悩が消滅した寂静の境地を表します。
”大般涅槃(マハーパリニルバーナ)”という表現には、師である釈尊はその肉体の死によって、はじめて本当の意味での”涅槃”に入ったのだ、という弟子たちの思いが込められています。

さて人生最後の時を迎えんと故郷カピラヴァストゥに向かう道すがら、鍛冶工のチュンダの施しにより病に罹り、クシナガラのサーラ双樹のもとに身体を横たえ、
従者アーナンダに最後のこの言葉を遺されました。

ここで灯火(ともしび)という言葉は、”燈明”であり”州”であると解釈されてきました。
”燈明”は暗闇の中で道を照らすあかりであり、”州”は洪水のなかでも唯一すがることのできる陸地を意味します。
生きていく上での拠り所は、外ならぬ私たち自身(自己)であり、釈尊の説かれた教え(法)である。
このお言葉は「自燈明、法燈明」として広く知られています。

合掌