伝道掲示板
和尚のひとりごと「伝道掲示板121」
不東
玄奘三蔵のことば
西遊記のモデルとも言われた玄奘三蔵が天竺へ旅立ったのは7世紀のこと
『大唐大慈恩寺三藏法師傳』にはこのようにある。
「貧道爲求大法 發趣西方 若不至婆羅門國 終不東歸 縱死中途 非所悔也」
“拙僧は大いなる仏法を求めんが為に西方天竺を志そうとしているのである。
もしバラモン国に至らないならば、ついに東に帰ってくるつもりはない。
たとえ途上で命終わることがあろうとも悔いはない”
国禁を犯して出国し、インド各地を巡り、
足掛け17年に及んだ旅から帰朝した玄奘を迎えたのは国を挙げての喝采であった。
原典に即しての理解、仏典の本当の意味を知りたいという求道心が成し遂げた快挙であった。
当時高昌国があった吐魯番(トルファン)
現在の中華人民共和国新疆ウイグル自治区に立つ玄奘の像
和尚のひとりごと「伝道掲示板115」
観自在菩薩行深般若波羅蜜多時照見五蘊皆空度一切苦厄
観自在菩薩が深般若波羅蜜多(じんはんにゃはらみた)を行ぜしとき
五蘊(ごうん)は皆空(かいくう)なりと照見(しょうけん)して
一切の苦厄(くやく)を度し給えり
“空”を説く一連の般若経典群
そのエッセンスと名付けられたのが『般若波羅蜜多心経』
観自在菩薩はその自在なる観察力によって現象の本質が空(からっぽ)であることを見通した
そしてそのことにより一切の苦悩が滅したという
その境地をこのように言い表す
色即是空 空即是色(しきそくぜくう くうそくぜしき)
物質的現象には実体が無いのであり、実体が無いからこそ物質的現象で(あり得る)のである。(中村元師訳)
観自在菩薩は別名”観世音”とも呼ぶ
滋賀・園城寺観音堂に安置される如意輪観音像