Monthly Archives: 1月 2021
和尚のひとりごと「伝道掲示板243」
(書き下し文)
みづから信じ人を教へて信ぜしむること、難(かた)きがなかに転(うた)たまた難し
大悲を伝えてあまねく化するは、まことに仏恩(ぶっとん)を報ずるに成る
(意味)
自ら信じ、かつ他をして信じさせること
これは困難ある中にもまた輪をかけて難しいことである
仏の大いなる慈悲の心を、あまねく全ての人々に伝えることは
誠に仏の大恩に報いることに他ならない
また念仏者の心構えを端的に示した文。
列祖の回向に唱える偈文として用いられることから、御忌会など列祖の法要、また説教・法話・講演会など教えを伝える場面において、最初に「開経偈」を唱え、終わりにこの偈文を称える慣わしである。
善導大師『往生礼讃』初夜礼讃偈より。
合掌
和尚のひとりごとNo470「法然上人御法語後編第四」
後編 第四「特留此経(どくるしきょう)」
【原文】
双巻経(そうかんぎょう)の奥に、「三宝滅盡(
この二つの意(こころ)をもて、弥陀の本願の、広く摂(せっ)
重きを挙(あ)げて軽(かろ)きを摂(おさ)め、
まことに大悲誓願(だいひせいがん)の深広(じんこう)なる事、
抑(そもそも)このごろ末法に入(い)れりといえども、
ただ三心(さんじん)を具(ぐ)して、専(もは)
【語句の説明】
特留此経(どくるしきょう)
八万四千の釈尊の教説の中、
双巻経(そうかんぎょう)
浄土三部経の中の『無量寿経』のこと。他の『観無量寿経』『
三宝(さんぼう)
仏教徒が帰依・尊重すべき三つの宝である仏・法・僧のこと。
ここでは後世に仏教を伝え広めるのに必要な住持三宝(
五逆(ごぎゃく)
五種の重罪、五逆罪のこと。『無量寿経』『観経』
十悪(じゅうあく)
十種の悪行のこと。十不善業道、十悪業道。
まず殺生(せっしょう、有情の命を断つ事)、偸盗(ちゅうとう、
三心(さんじん)
阿弥陀仏の西方極楽浄土へ往生を遂げる為に備えなければならない
【現代語訳】
『無量寿経』の末尾に「
この二つの文より、阿弥陀仏の本願が、
これは罪深い者たちをも救いあげ、罪状の軽い者たちをも含め、
まことに弥陀の大いなる慈悲に基づいた誓いが深く広いこと、
いったいぜんたい、昨今は末法の時代に入ったと言われますが、
五逆罪という重罪を犯した者たちでさえも見捨てることがないので
ただ実直に三心(という浄土往生に向けたまことの心)を具えて、
「往生大要抄」に収録されているこの一節は、
私たちたちが為すべきは、まさに「三心を具して、
和尚のひとりごと「伝道掲示板239」
(意味)
この味わいと色味、香りを、ここに招いた御仏に供養致します。
そしてこの度、この食を施した者に、はかり知れないほどの功徳が届きますように。
仏前もしくは霊前にて御膳を供える際に唱えるもので、”波羅蜜(パーラミター)”は菩薩が実践すべき六つの徳目に含まれるは布施波羅蜜のこと。見返りを求めず惜しげなく施すことを意味する。
本来は浄土宗の食作法(正式な食前の作法)において唱えるべき偈文に「呪願偈(じゅがんげ)」があり、これはそこから転用されたもの。
「此食色香味しじきしきこうみ 上献十方仏じょうこんじっぽうぶつ 中奉諸賢聖ちゅうぶしょげんじょう 下及六道品げぎゅうろくどうほん 等施無差別とうせむしゃべつ 随感皆飽満ずいかんかいほうまん 令諸りょうしょ(今こん)施主得せしゅとく 無量波羅蜜むりょうはらみつ」『新学行要鈔』
これによればこの食によって諸仏から六道輪廻の有情を含む全てに施さんと志すが、ここでは今この道場に奉請した仏に対する供養という形をとっている。
また特定の施主がいるときは”令今施主得”、特定の施主が決まっていないときは”令今諸施主得”とする。
合掌
和尚のひとりごと「伝道掲示板237」
(書き下し文)
十方証誠諸仏よ、六神通をもって私を照鑑したまえ。今二尊の教えに乗じて、広く浄土門を開かん
(意味)
十方のあらゆる方角におわします仏たちよ
六種の神通力をもって私をご覧ください
今わたくしは釈迦仏・弥陀仏の尊ぶべき仏の示した教えに従って
ここに広く浄土の御教えを開示しようと思います
善導大師『観経疏』玄義分より
善導大師が『観経』に明かされている凡夫往生の教えを説き示さんとするにあたり記した一文。
唐朝三代皇帝高宗の発願で建造された中国仏教史上に名高い龍門石窟の検校僧に抜擢された善導大師
その龍門石窟からはこの一節を含む十四行偈(『観経疏』の序文)の刻文が発見されているという。
合掌